News
Abstractions – ある地点より –
豊嶋康子 | 佐藤克久 | 末永史尚 | 益永梢子
豊嶋康子 | Yasuko TOYOSHIMA
日常社会の制度や仕組みを批評的に捉え、人間の思考の「型」を見出すことをテーマとして、作品を発表している。
1967年埼玉生まれ。1993年東京芸術大学大学院美術研究科油画専攻修士課程修了。近年の主な展示として、個展「発生法─天地左右の裏表」(2023-24 年 / 東京都現代美術館)、「Group Show – 豊嶋康子 | 荻野僚介 | 伊藤誠」(2023-24 年 / Maki Fine Arts)、個展「収納装置」(2021年 / M 画廊)、個展「交流_2021」(2021年 / ガレリア フィナルテ)、「Public Device -彫刻の象徴性と恒久性」(2020年 / 東京藝術大学大学美術館)など。
佐藤克久 | Katsuhisa SATO
絵画という制度・形式を題材として、ユーモアを交えながら、色彩と形態の関係性を探求している。
1973年 広島生まれ。1999年愛知県立芸術大学大学院美術研究科油画専攻修了。近年の主な展示として、個展「あけっぴろげ」(2023 年 / See Saw gallery+hibit)、個展「とりもなおさず」(2023年 / SHINBI GALLERY)、「Insight 28 “hang”」(2023年 / Yoshimi Arts)、「コレクション 小さきもの─宇宙/猫」(2023年 / 豊田市美術館)、「SHOUONJI ART PROJECT 28th 佐藤克久 うらおもて」(2021年 / 照恩寺)など。
末永史尚 | Fuminao SUENAGA
日常見ているものや展示空間に関わるものからピックアップした視覚的トピックをもとに絵画・立体作品を制作している。
1974年山口生まれ。1999年東京造形大学造形学部美術学科美術 I 類卒業。近年の主な展覧会として、「うつす展」(2024年 / BOOK AND SONS)、「Textural Synthesis」(2024年 / 三越コンテンポラリー)、個展「軽い絵」(2024年 / Maki Fine Arts)、「へいは展」(2023年 / 代田橋納戸/ギャラリーDEN5) 、「Group Show – 白川昌生 | 末永史尚 | 城田圭介 | 加納俊輔 | ショーン・ミクカ」(2022年 / Maki Fine Arts)など。
益永梢子 | Shoko MASUNAGA
絵画を起点として、多様な手法により制作。周囲の環境・空間との関係性を重視する作品群は可変的で置換可能な性質を持つ。
1980年 大阪生まれ。2001年 成安造形短期大学造形芸術科卒業。近年の主な展示として、「MEMORIES」(2023年 / CADAN 有楽町)、「Ginza Curator’s Room #005 天使のとまり木」(2023年 / 思文閣銀座)、個展「その先の続き」(2023年/ Maki Fine Arts)、個展「editing」(2022年 / nidi gallery)、個展「replace」(2021年 / LOKO Gallery)など。
—
Abstractions – ある地点より – 豊嶋康子 | 佐藤克久 | 末永史尚 | 益永梢子
会期:2024年8月6日(火) – 8月25日(日)
会場:CADAN有楽町 / 東京都千代田区丸の内3-1-1国際ビル1階
営業時間:火−金 11時−19時 / 土、日、祝 11時−17時
休業日:8月13日(火)、8月19日(月)
オープニングレセプション:8月6日(火) 18:00-20:00
クロージングパーティー:8月25日(日) 15:00-17:00 *出展作家が参加いたします
link
パターンと距離
伊藤誠 | 益永梢子 | 佐々木耕太 | 長田奈緒 | 堀田ゆうか
青空
2017年
亜鉛鉄板、油彩
60 x 72 x 3 cm
伊藤誠 | Makoto Ito
様々な素材を用いた立体作品は、フォーマルでありながら軽やかでユーモアがあり、同時代の彫刻の可能性を体現しています。
「青空」(2017年制作) は、ある地点から見える遠景をモチーフに、至近距離で触れるものとして表現した作品の一つです。この作品は、遠くに見える送電線に取り付けられている鳥害防止器具を写真撮影したものをモチーフとしています。実際の風景の縮図を、彫刻として変換された場合の距離の尺度が表出されます。「青空」に加え、新作も発表予定です。
1955年愛知生まれ。武蔵野美術大学大学院 造形研究科彫刻コース修了。近年の主な展示として、個展(2024年 / ガレリア フィナルテ)、「第Ⅰ期 コレクターズ・アイ1 90年代を中心に」(2024年 / 豊橋市美術館)、「Group Show – 豊嶋康子 | 荻野僚介 | 伊藤誠」(2023-24年 / Maki Fine Arts)、「DOMANI・明日展 2022–23」(2022-23年 / 国立新美術館)、「heliotrope(ヘリオトロープ)」(2022年 / 照恩寺)、「オムニスカルプチャーズ—彫刻となる場所」(2021年/ 武蔵野美術大学美術館)など。
Session1
2023年
木製パネル、キャンバス、アクリル絵の具、鉛筆
38.5 x 46 cm
益永梢子 | Shoko Masunaga
絵画を起点として、多様な手法により制作。周囲の環境・空間との関係性を重視する作品群は可変的で置換可能な性質を持ちます。
「Session」(2023年制作)は、いくつかのシェイプト・キャンバスによる組み合わせにより形成されています。隣り合う作品と呼応するかのように、色彩や線、パターンが柔らかに繋がり合い、豊かな関係を紡いでいく造形によるものです。
1980年 大阪生まれ。2001年 成安造形短期大学造形芸術科卒業。近年の主な展示として、「MEMORIES」(2023年 / CADAN有楽町)、「Ginza Curator’s Room #005天使のとまり木」(2023年 / 思文閣銀座)、個展「その先の続き」(2023年/ Maki Fine Arts)、個展「editing」(2022年/nidi gallery)、個展「replace」(2021年/LOKO Gallery)、グループ展「Ordinary objects」(2020年/Maki Fine Arts)、個展「Box, Box, Box」(2019年/Cooler Gallery)、「クリテリオム93 益永梢子」(2018年/水戸芸術館現代美術ギャラリー)など。
Untitled
2024年
キャンバスに油彩
33.3 x 24.2 cm
佐々木耕太 | Kota Sasaki
3DCGを用いて、アトリエやギャラリー等の空間を描くなど、2Dと3Dを交差するペインティング作品を制作。
「Untitled」は、絵具の厚みでできた画面の上から、ストライプのパターンを描いた作品です。パターン(2次元)を、凹凸に形成された支持体(3次元)へと描き込まれ、見る角度により視覚的な揺らぎが生まれます。イメージが圧縮されたようなイリュージョンを画面に与え、「見ること」を意識されられます。
1982年千葉県生まれ。2012年 東京造形大学造形学部美術学科絵画専攻卒業。近年の主な展覧会として、「Textural Synthesis」(2024年 / 三越コンテンポラリー)、「メディウムとディメンション:Liminal」(2022年 / 柿の木荘)、「佐々木耕太 花木彰太 aai oua」(2022年 / See Saw gallery+hibit) 、個展「Cut and Paste」(2021年 / LOOP HOLE)、「Trace」(2020年 / CAVE-AYUMI GALLERY )、「佐々木耕太+中尾拓哉Some or Same」(2019年 /アートラボはしもと)、「ignore your perspective 47 Pop-up Dimension 次元が壊れて漂う物体」(2018年 / 児玉画廊)、個展「Model」(2018年 / CAVE-AYUMIGALLERY)など。
Surface Preparation (Sandpaper 3M)
2024年
シルクスクリーン、真鍮
各 6.0 x 4.5 x 2.0 cm
長田奈緒 | Nao Osada
身近にあるものの表面の要素を、シルクスクリーンを用いて、実際とは異なる素材の表面に刷った作品を制作。
紙やすりを題材とした「Surface Preparation (Sandpaper 3M)」は、その表面と裏面のイメージが同型の真鍮に刷られており、2つの作品が重なり合う構造になっています。長田の作品は、日常で廃棄されていく些細なものに「はかなさ」を見出し、繊細で詩的な存在へと昇華させていきます。鑑賞者にささやかな気付きを促し、その現実観を揺らがしていきます。
1988年生まれ。2016年東京芸術大学大学院美術研究科修士課程修了。近年の主な展示として、「VOCA展2024」(2024年 / 上野の森美術館)、個展「目前を見回す」(2023年 / Maki Fine Arts)、個展「紙を持つ手は紙」(2023年 / ギャラリーそうめい堂)、「日本国憲法展」(2023年/無人島プロダクション)、「メディウムとディメンション Liminal」(2022年/柿の木荘)、個展「少なくとも一つの」(2022年/Maki Fine Arts)、「感性の遊び場」(2022年/ANB Tokyo)、個展「I see…」(2022年/NADiff Window Gallery)など。
C-144
2024年
アクリル、鉛筆、ジェッソ、木製パネル
29.7 x 21 x 2 cm
堀田ゆうか | Yuka Hotta
絵画を起点とし、ドローイングやインスタレーションを軸に制作。近作では版表現を作品に組み込むなど、様々なメディアを介したドローイングも試みています。
「C」と名付けられた作品シリーズは、身体的感覚によって描かれた手探りの行為の痕跡です。自由自在で開放的なストロークは、生気を伴った感覚を頼りに描かれ、呼吸を感じされるようなイメージが表出されています。
1999年 愛知県生まれ。現在、東京藝術大学大学院 美術研究科絵画専攻在籍。近年の主な展覧会として、「act. Inframince」(2024年 / OGUMAG)、「a hue and cry. 」(2024年 / アートかビーフンか白厨)、「バグスクール:うごかしてみる!」(2023年 / BUG)、個展「からです」(2023年 / APどのう)、個展「pppractice」(2023年 / フラットリバーギャラリー)、個展「ない関節」(2023年、亀戸アートセンター)、「うららか絵画祭」(2023年 / The 5th Floor)など。
益永梢子「その先の続き」
近づいてみるとそれは花畑ではなくて
2023年
木製パネル、キャンバス、アクリル絵の具、ジェルメディウム、木炭
73 x 73 x 5.5 cm
一応は名付けられた時間の境目にいる
2023年
木製パネル、キャンバス、アクリル絵の具、ジェルメディウム
37 x 35 x 4.5 cm
Maki Fine Artsでは3月18日(土)より4月23日(日)まで、益永梢子 個展「その先の続き」を開催いたします。Maki Fine Artsでは初となる個展、是非ご覧ください。
—
「出来事としての絵画」 沢山遼(美術批評家)
益永梢子の制作において、絵画は描かれるのではなく、造形される。彼女の絵画には、画家に無条件に与えられる、所与の条件としての支持体というものが存在しない。だからそこでは、キャンバスという支持体があり、その上にイメージを載せる、という一般的な絵画のありようは、かぎりなく遠ざけられている。
むしろ、益永の制作において絵画の基底的な面となる支持体は、彫刻家があつかう素材のように、可変的、可塑的な操作対象としてある。だからイメージは、支持体の物質的な可塑性、その厚みとともに生起する。絵画は、展開・拡張され、幾重にも積層し、折りたたまれ、湾曲し、ねじられ、めくられ、たわみ、剝がされ、貼りつけられる。絵画は、こうした一連の動的な語彙で形容しうる、諸々の変形作用を受け入れることで造形される。彼女の絵画において、支持体の造形とイメージの生成が同時であることは、その論理的、構造的な帰結である。
絵画は、そのような変形作用を行使する画家の挙動、行為をたえまなく記録するとともに、画布もまた、キャンバスの木枠の窮屈さに耐えかねるように枠から開放され、みずからの布としての変形作用を全面化する。自力では物理的に自律できない布は、幾重にも屈曲し、ときに時間とともに変形したわむことで、そこに加えられる力学的な力が知覚される。絵画はそこで、画家のさまざまな挙動、素材の物質的な可塑性=変形可能性、重力などの力が分離不可能な状態で交錯する力学的な場=出来事としてある。進行形の出来事を記録する場(トポス)としての絵画が開設される。
そのとき、益永の絵画は、名詞ではなく動詞的なものへと変わる。彼女の手がつくりだすのは、見る者の眼の前で生成・展開する動的な対象としての絵画であるからだ。それは、周囲の空気や風を受け入れるようにひるがえり、みずからの呼吸のリズムとともにかすかに振動し、ひっそりと息づいている。
—
益永梢子 | Shoko Masunaga
1980年 大阪生まれ。2001年 成安造形短期大学造形芸術科卒業。2018-2019年、文化庁新進芸術家海外研修制度によりニューヨークに滞在。絵画を起点とし、多様な手法を用い制作を行っている。周囲の環境・空間との関係性を重視する作品群は可変的で置換可能な性質を持つ。近年の主な展示として、個展「editing」(2022年/nidi gallery)、個展「replace」(2021年/LOKO Gallery)、グループ展「Ordinary objects」(2020年/Maki Fine Arts)、個展「Box, Box, Box」(2019年/Cooler Gallery)、「クリテリオム93 益永梢子」(2018年/水戸芸術館現代美術ギャラリー)、「VOCA展2017」(2017年/上野の森美術館) など。
Ordinary objects – アレックス・ダッジ / 益永梢子 / 荻野僚介 / 末永史尚
Soft Power for Hard Problems (Nike) I
2020年
oil on canvas
38 x 45.5 cm
Maki Fine Artsは、アレックス・ダッジ、益永梢子、荻野僚介、末永史尚によるグループショー「Ordinary objects」を11月27日(金)より12月20日(日)まで、開催いたします。
身近にありふれたものを作品の題材として、それぞれ異なるアプローチで絵画を考察する4名のアーティストを取り上げています。是非ご高覧下さい。
アレックス・ダッジ | Alex Dodge
1977 年アメリカ合衆国コロラド州デンバー生まれ、現在ブルックリン(ニューヨーク)と東京を拠点に活動している。近年の主な展示に、個展(2020年 / Klaus von Nichtssagend)、個展「情報のトラウマ」(2019 年 / Maki Fine Arts)、「Programmed: Rules,Codes, and Choreographies in Art, 1965-2018」(2018-19 年 / ホイットニー美術館)、個展「Whisper in My Ear and Tell Me Softly」(2018 年 / Klaus von Nichtssagend Gallery)など。ニューヨーク近代美術館、ホイットニー美術館、メトロポリタン美術館、ボストン美術館などに作品が収蔵されている。
益永梢子 | Shoko Masunaga
1980年 大阪生まれ。2000年 成安造形短期大学造形芸術科洋画クラス卒業。絵画を起点とし、多様な手法を用い制作を行っている。周囲の環境・空間との関係性を重視する作品群は可変的で置換可能な性質を持つ。近年の主な活動:文化庁新進芸術家海外研修制度によりNARS Foundation主催のInternational Residency Programに参加 (2018-2019年 / Brooklyn New York) 、「Box, Box, Box」(2019年 / Cooler Gallery, Brooklyn New York)、「クリテリオム93益永梢子展 : Daily Routine」(2018年 / 水戸芸術館現代美術ギャラリー第9室)、「VOCA展」(2017年上野の森美術館)、「ルランタット パダンパダン」(2016年 / gallery yolcha)、「platform」(2016年 / LOOP HOLE)、「Sabbatical Company#1 夕方帰宅してみると」(2016年 / milkyeast)、「ポストにこれが届いていた」(2015年 / ETNA&IONIO)、「Abstract Butter at HAGISO」(2015年 / HAGISO)、「三つの机のあるところ」(2015年 / Art Center Ongoing)、「メディウムの条件 ART CRITIQUE n.04刊行記念企画」(2014年 / HAGISO)など。
荻野僚介 | Ryosuke Ogino
1970年埼玉県生まれ。1993年明治大学政治経済学部卒業、1998年Bゼミスクーリングシステム修了。 色彩と形態の関係性を考察しながら、主に色面を用いた絵画作品の制作を行っている。近年の主な展覧会として、「引込線 / 放射線」(2019年 / 第19北斗ビル)、「MOT コレクション ただいま / はじめまして」(2019年 / 東京都現代美術館)、「絵画の現在地」(2018年 / 札幌大通地下ギャラリー500m美術館)、個展「(-ness)」 (2018年 / Maki Fine Arts)、個展「ハロー」(2016年 / Gallery&cafe see-saw)、個展「個点々」(2015 年 / switch point)、「ペインティングの現在 -4 人の平面作品から-」(2015年 / 川越市立美術館)、個展「cannot see clearly」 (2014年 / gallery COEXIST TOKYO)、「New Vision Saitama 4 静観するイメージ」(2011年 / 埼玉県立近代美術館)など。
末永史尚 | Fuminao Suenaga
1974 年山口生まれ。1999 年東京造形大学造形学部美術学科美術 I 類卒業。日常見ているものや展示空間に関わるものからピックアップした視覚的トピックをもとに絵画・立体作品を制作している。近年の主な展覧会として、個展「ピクチャーフレーム」(2020年/Maki Fine Arts)、「アートセンターをひらく (第 I 期 第II期)」(2019 -2020年/ 水戸芸術館 現代美術ギャラリー)、「百年の編み手たち – 流動する日本の近現代美術 – 」(2019 年/東京都現代美術館)、「MOTコレクション ただいま / はじめまして」(2019年/東京都現代美術館)、個展「サーチリザルト」(2018 年/ Maki Fine Arts)、「引込線 2017」(2017年/ 旧所沢市立第2学校給食センター)、「APMoA Project, ARCH vol. 11 末永史尚「ミュージアムピース」(2014 年 / 愛知県美術館展示室 6)、「開館 40 周年記念 1974 第 1部 1974 年に生まれて」(2014 年 / 群馬県立近代美術館)など。