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対象と位置
城田圭介 | 澤あも愛紅 | 木村桃子

Seascape (cloudy, shoreline)
2025年
Photograph, oil and acrylic on canvas. panel
37 x 45.4cm
城田圭介 | Keisuke Shirota
写真と絵画を主な制作手段とした作品を展開している。凡庸なストリートスナップや観光写真、アルバム写真などを基点にフレーミングからこぼれ落ちたもの、あるいは写真の前景と背景、主題と非主題などに着目し、絵画と組み合わせた制作を行う。様々な制作展開を通じて記憶や目に映る事象の不確実さを、むしろ生の確からしさとして捉え直す。
1975 年神奈川県生まれ。2003年東京藝術大学大学院美術研究科デザイン専攻修了。
近年の主な展覧会として、個展「視差と時差」(2025年 / クアドリヴィウム・オスティウム)、個展「波と海」(2024年/Maki Fine Arts)、「Beyond the Frame 城田圭介×那須佐和子」(2023年/ haco -art brewing gallery- /うららか絵画祭)、個展「写真はもとより PAINT, SEEING PHOTOS」(2019年-2020年/茅ヶ崎市美術館)など。

葡萄 : uva 3
2025年
キャンバスに油彩、アクリルに油彩
H33.5 x W50 x D18.3 cm
澤あも愛紅 | Amo Aicou SAWA
イメージと物質の関係を問い直しながら、軽やかで揺らぎのある表現方法を追求している。モチーフには、考古物や古物のように長い時間受け継がれてきたものと、日々形が変化する果物のイメージを描いている。支持体には透明な素材を選んでいるので、その上に薄く伸ばした絵の具は透過しており、さらに、それぞれ描くモチーフに合わせて湾曲させているので、完成した作品は、軽やかに、浮ぶように存在する。
1993年 岐阜県生まれ。2019年 京都市立芸術大学大学院 美術研究科絵画専攻油画修了。
近年の主な展覧会として、個展「Out of the Museum 」(2025年/京都岡崎蔦屋書店GALLERY EN ウォール)、個展 「柳は緑、花は紅 気積をめくる」(2023年/熊間)、 個展「円の裏は、四角」(2020年/artists space TERRAIN)など。

Cassiopeia
2025年
木、光ファイバー、着彩
H8.4 x W19 x D14.5 cm
木村桃子 | Momoko KIMURA
彫刻を専門分野とし、物質に宿る時間を可視化する作品の制作に取り組んでいる。
主に木を扱い彫刻作品を制作しているが、近年は光ファイバーなどの様々な素材を組み合わせることで、時間そのものを凝固させたような造形を行うことを試みる。
例えば、星座や光といったモチーフを手がかりに、光が通る距離を時間として捉え、身の回りのスケールの物質から宇宙規模もしくはマクロの世界の時間についても思いを馳せることができるような作品の制作を目指している。
1993年東京都生まれ。2019年武蔵野美術大学大学院造形研究科修士課程美術専攻彫刻コース修了。
近年の主な展覧会として、「群馬青年ビエンナーレ2025」(2025年/ 群馬県立近代美術館)、トーキョーアーツアンドスペースレジデンス2025 成果発表展 「リンガ・フランカ」(2025年/トーキョーアーツアンドスペース本郷)、個展「領域の高さ」(2025年/second 2.)など。
会期中の休業日:
1月19日(月)、1月20日(火)、1月26日(月)、1月27日(火)、2月2日(月)、2月3日(火)、2月9日(月)、2月10日(火)、2月11日(水)、2月12日(木)、2月13日(金)、2月14日(土)、2月15日(日)、2月16日(月)、2月17日(火)
城田圭介 | 波と海

Seascape (sunny/ cloudy)
2024年
キャンバスに写真と油彩、パネル
131 x 184 cm(二枚組、左右入替可)

Seascape (horizon, beach)
2023-2024年
キャンバスに写真と油彩、パネル
64 x 118 cm

Seascape (horizon, beach) - detail
2023-2024年
キャンバスに写真と油彩、パネル
64 x 118 cm

Seascape (jetty, sunset)
2024年
キャンバスに写真と油彩、パネル
49 x 64cm
Maki Fine Artsでは、5月25日(土)より6月23日(日)まで、城田圭介の新作による個展「波と海」を開催いたします。城田の作品は、写真の周囲に拡張するイメージを描き加えることにより、視覚の外側にあるもの(記憶の不確実さ)を可視化し、「見ること」についての意味を意識させます。写真の周囲のイメージは、写真に写っている情報を頼りに油彩で描き出されていますが、画面上の所々に見られるイメージのズレや余白が、断片的に途切れたような記憶の曖昧さを感じさせられます。あえてそのような痕跡を残しながら、複数の写真からイメージを繋ぎ合わせ、全体へと集約させるように描かれ帰結されます。
Maki Fine Artsでの3回目の個展となる本展では、海辺の風景を描いた新作を発表いたします。美術作品の普遍的なモチーフである海は、城田にとっても身近で日常的なものであり、必然的に選ばれた題材です。是非ご高覧ください。
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波と海
海のある街に移住して八年が過ぎる。とりたてて海のレジャーに興じているわけではないが、海辺を歩き、眺め、子供達と過ごし、海の景色は日常の一場面になった。もちろんいいことばかりではない。海に包囲された地震大国のこの国で、海の近くに住むリスクもそれなりに理解している。海の恩恵もリスクも感じながら、一方、海を題材にした数多の絵画や写真、アートが海を見るたびに脳裏をよぎる。新しくもないありふれたテーマであることは承知しているが、自分も海を題材にした制作を行うことは避けられないように思えた。
制作はいつもランダムに撮りためた凡庸な写真を見返すところからはじまるが、ひとつの題材に絞って撮影するのは今回が初めてだ。展示作品に使った写真は二千枚を超える中から選んだが、選ばれなかった写真はもとより「撮られなかった写真」の数はその比ではない。それに付随する「描かれなかった絵画」も同様に。波のように終わりなく現れては消え去る選外の存在なしには、ここにある作品はなかったはずだ。
城田圭介
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城田圭介 | Keisuke Shirota
1975 年神奈川県生まれ。2003年東京藝術大学大学院美術研究科デザイン専攻修了。近年の主な展覧会として、「親子で感じる横須賀 子育てから生まれた作品」(2023年/ヨコスカアートセンター)、「Beyond the Frame 城田圭介×那須佐和子」(2023年/ haco -art brewing gallery- /うららか絵画祭)、「かくれんぼ—さがして。そして、」(2022年/茅ヶ崎市美術館)、個展「Out of the frame」(2022年/Maki Fine Arts)、個展「Over」(2021年/Maki Fine Arts)、個展「写真はもとより PAINT, SEEING PHOTOS」(2019年-2020年/茅ヶ崎市美術館)など。







Group Show
グレン・ボールドリッジ | ホーリー・クーリス | アレックス・ダッジ | 城田圭介

No Way
2021年
Gouache on paper
60.96 x 46.04 cm

Lemon on End
2022年
Gouache on Arches paper
45.72 x 60.96 cm

Tanks – January 24, 2023 (Midnight Embassy)
2023年
oil and acrylic on canvas
42.2 x 56.2 cm

Coastal path
2022 – 2023年
photograph and oil on canvas board mounted on wood frame
60 x 90cm
Maki Fine Artsでは5月13日(土)より6月25日(日)まで、4名の作家によるグループショーを開催いたします。新作、および近作を展示いたします。是非ご覧ください。
グレン・ボールドリッジ|Glen Baldridge
1977年アメリカ合衆国テネシー州ナッシュビル生まれ。近年の主な展示に、個展「Wigwag」(2023年/ Klaus von Nichtssagend Gallery)、個展「What Now Who How」(2022年/ Halsey McKay Gallery)、個展「No Way」(2019年 / Halsey McKay Gallery)など。メトロポリタン美術館、ニューヨーク近代美術館、ホイットニー美術館、RISD美術館などに作品が収蔵されている。
ホーリー・クーリス| Holly Coulis
1968年カナダ、トロント生まれ。近年の主な展示に、個展「Sun Shift」(2023年/ Cooper Cole Gallery)、個展「Eyes and Yous」(2022年/ Klaus von Nichtssagend Gallery)、個展「Orbit」(2021年/ Philip Martin Gallery)など。ブラントン美術館、Nerman美術館などに作品が収蔵されている。
アレックス・ダッジ|Alex Dodge
1977 年アメリカ合衆国コロラド州デンバー生まれ。近年の主な展示に、個展「Personal Day」(2023年 / BB&M)、個展「Laundry Day : It all comes out in the Wash」(2021年/ Maki Fine Arts)、個展(2020年 / Klaus von Nichtssagend Gallery)、「Programmed: Rules,Codes, and Choreographies in Art, 1965-2018」(2018-19 年 / ホイットニー美術館)など。メトロポリタン美術館、ニューヨーク近代美術館、ホイットニー美術館、ボストン美術館、RISD美術館などに作品が収蔵されている。
城田圭介|Keisuke Shirota
1975 年神奈川県生まれ。近年の主な展覧会に、二人展「Beyond the Frame 城田圭介×那須佐和子」 (2023年/ haco -art brewing gallery- )、個展「Out of the frame」(2022年 / Maki Fine Arts)、個展「Over」(2021年 / Maki Fine Arts)、「写真はもとより PAINT, SEEING PHOTOS」(2019年-2020年 / 茅ヶ崎市美術館)など。茅ヶ崎市美術館に作品が収蔵されている。








城田圭介 Out of the frame

Seashore
2021-2022年
Photograph and oil on canvas board mounted on wood frame
55×71.5cm
Maki Fine Artsでは3月26日(土)より4月24日(日)まで、城田圭介 個展「Out of the frame」を開催いたします。写真と絵画を組み合わせた作品を制作する城田圭介。2019年には茅ヶ崎市美術館で個展「写真はもとより PAINT, SEEING PHOTOS」が開催されました。Maki Fine Artsでは2回目の個展となる本展では、スナップ写真を用いて、その周囲に拡張するイメージを描き加えた新作を展示いたします。2003年頃より制作を開始した、代表的作品「A Sense of Distance」を基礎としていますが、新作は2つの写真が重なり合うズレを生み出したり、「余白(フレーム)を描く」ことで、見る行為そのものの不確実性を意識させながら、写真と絵画の複雑な関係性のあり方を示唆しています。是非ご高覧ください。
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Out of the frame
一葉の写真、ひとつの画像をみつめながら、そのフレームには収まっていない別の可能性が頭を過る。
写真を撮る、シャッターを押すというのはひとつの選択だ。決定的瞬間を撮ろうなどと気構えずとも、あるいは退屈で凡庸な日常を撮るにしても、写真に残さないという選択を除けば画像を得るにはシャッターを押す他ない。
撮影行為はその巧拙にかかわらず、ある瞬間にあるフレーミングを選択することだが、それは裏返せば写真に撮られなかった、選択されなかった無数の瞬間とフレーミングを同時につくり出してしまうことと一体ではないか。ほとんど無尽蔵に撮影可能な今日のデジタル機器やスマートフォンを用いても、その思いは拭えないどころか益々増幅されているように思う。撮られた写真を見返す時間は、その選択からこぼれ落ちた異なる可能性に向き合う時間にも思えてくる。
撮られなかった別の選択肢、選ばれていたかもしれない別のフレーム。キャンバスの有限のフレームとも折り合いをつけながら、異なる可能性へのアクセスとして写真の周囲に絵筆を加えていく。写真に忠実であろうとすればするほど写真/身体、写真/絵画、記録/記憶などの落差は手触りを増す。いうまでもなく、描かれたフィールドも無数の選択肢から選ばれた一つの可能性に他ならない。
城田圭介
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城田圭介 | Keisuke Shirota
1975 年神奈川県生まれ、2003年東京藝術大学大学院美術研究科デザイン専攻修了。近年の主な展覧会として、個展「Over」(2021年 / Maki Fine Arts)、「写真はもとより PAINT, SEEING PHOTOS」(2019年-2020年/茅ヶ崎市美術館)、個展「Tracing /Background」(2013年 / ベイスギャラリー)、「シェル美術賞 アーティスト セレクション」(2013年/ 国立新美術館)、「フォトリファレンス・写真と日本現代美術」(2012年/ベオグラード文化センター)、個展(2010年/ギャラリー・ステファン・ルプケ)など。
城田圭介 Over

August 15, 2020 (Nijubashi Bridge) / detail
2020年
Oil, enamel paint, newspaper photo clippings on canvas, panel
130.3 x 194cm
Maki Fine Artsでは、城田圭介 個展「Over」を2021年1月8日(金)より2月7日(日)まで、開催いたします。スナップ写真を用いて、その周囲に拡張する架空のイメージを描き加える作品や、風景写真の中の人物のみ塗り潰し、画面から消し去る作品など、写真と絵画を組み合わせた作品を制作する城田圭介。2019年には、茅ヶ崎市美術館で個展「写真はもとより PAINT, SEEING PHOTOS」(2019年-2020年)が開催されました。Maki Fine Artsで初となる本展では、新作を中心に展示いたします。
城田の作品は、写真を素材としながら、イメージの断片を加算する(付け加える)、および減算する(消去する)、または他の素材からの部分的なコピー(転移)による描写方法で組み立てられています。
新作「August 15, 2020 (Nijubashi Bridge) 」では、二重橋で撮影された写真のツーリストの部分のみが抽出され、画面に描写されています。支持体には、複数の新聞から切り抜かれた無数の写真(8月15日付)が貼り合わされ、白色塗料で全体を覆い塗り潰してありますが、その側面には下層の新聞紙の痕跡を見ることができます。
SNS等を通じて、写真=イメージ(画像データ)という認識が一般的となり、従来の写真の定義が不確実になる現在において、城田は描く行為により、写真そのものの実体を鑑賞者に意識させます。
是非ご高覧下さい。
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見尽くすことの出来ない多過ぎる画像情報と、ひとつの画像をよく見ること。
写真の表面は充実した情報であるが、その裏は白紙であること。
見えないことを、構造によって見えるようにすること。
塗る、描く、という行為は、消す、覆う、という行為でもあること。
プラスとマイナスが同時進行であること。
これらのことがこの一年の制作においてはとくに重要であったように思う。
城田圭介
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城田圭介 | Keisuke Shirota
1975 年神奈川県生まれ、2003年東京藝術大学大学院美術研究科デザイン専攻修了。近年の主な展覧会として、個展「写真はもとより PAINT, SEEING PHOTOS」(2019年-2020年/茅ヶ崎市美術館)、個展「Tracing /Background」(2013年 / ベイスギャラリー)、「シェル美術賞 アーティスト セレクション」(2013年/ 国立新美術館)、「フォトリファレンス・写真と日本現代美術」(2012年/ベオグラード文化センター)、個展(2010年/ギャラリー・ステファン・ルプケ)など。