渡辺豊「soft construction」

2017年4月 1日 - 4月30日

オープニング・レセプション:4月1日(土)18:00 - 20:00

Maki Fine Artsでは、2017年4月1日(土)より、渡辺豊 個展「soft construction」を開催します。

渡辺豊は1981年東京生まれ。2007年武蔵野美術大学大学院造形研究科美術専攻油絵コース修了。これまでの主な個展として、「The good old things is new forever」(2016年/switch point)、「Melting land」(2015年/JIKKA)、8/ ART GALLERY/小山登美夫ギャラリー(2013年)など。

渡辺のペインティングは、溶け合うような空想的イメージと有機的なフォルムをつなぎ合わせた画面が特徴で、抽象と具象の間を行き来しています。新作はいくつもの色面の要素が柔らかく重なり合う多層的構成で、画面に独特のリズムと緊張感を与えています。本展は、Maki Fine Artsで初めての個展となります。是非ご高覧ください。

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渡辺豊について―色感と触覚のリアリティ
山村仁志(東京都美術館学芸担当課長)


 渡辺豊の絵画を最初に見たのは、武蔵野美術大学油彩画科大学院のアトリエでだった。そのころの彼は、室内の情景や動物を描いていた。印象的だったのは、色彩と空間の中の表面の豊かさだった。大小多彩な色彩がお互いに響きあい、ハーモニーを奏でていた。
その後、府中市美術館の企画展に出品してもらった渡辺豊の絵画は、ビルに挟まれた空き地や住宅の前庭の構築物を思わせる空間となった。半透明のテクスチャーの感覚が鋭くて、テーブルクロス、壁面、カーテン、レンガ塀などの表面、装飾パターン、筆触が実に生き生きとして、絵画空間を楽しく、騒がしい雰囲気にさせていた。一言でいうと、絵画に見る者の色感と触覚を活性化するリアリティがある。ユーモアもあるし、とぼけたような味もある。
 ここ数年では、クレーを思わせる幻想的空間に変わった。絵画はより平面的に、抽象的に、いささかバロック的になっているように感じられる。渡辺は変わることを怖れない。統一されているようで、抜けがある。完成されているようで、未完成な感触がある。様々な画廊で彼の作品を見に行くたびに、半ば期待が裏切られ、半ば新鮮な感動を受け取る。私は、じれったいような独特の絵画体験を繰り返している。分かったようで分からない彼の作品世界の前で、逡巡し、ギャラリーを彷徨っている自分がいる。いったい、渡辺豊の絵画はどこへ向かうのか?とにもかくにも、私は毎回彼の絵画の色彩と空間表面の豊かさを楽しみにしている。


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Yutaka Watanabe "Welcome Figure"
2017, oil on canvas, 162 x 130.3cm

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