加納俊輔「コンストラクション断面」

2016年10月22日 - 12月11日

オープニング・レセプション:10月22日(土)18:00 - 20:00

Maki Fine Artsでは、2016年10月22日(土)より、加納俊輔 個展「コンストラクション断面」を開催します。

加納俊輔は1983年大阪生まれ。2010年 京都嵯峨芸術大学大学院芸術研究科修了。「写真を見るということを『イメージを見ること』と捉えるのではなく、『イメージが貼りついた物質を見ている』と捉えなければならないと思っている」という加納の言葉が示すように、写真を通して、複雑な階層を意識させる手法により、「見る」という行為を問い直す作品を発表しています。

これまでの主な展覧会に、「これからの写真」(愛知県美術館/2014年)、第8回 shiseido art egg 「加納俊輔 | ジェンガと噴水」(資生堂ギャラリー/2014年)など。近年では、他アーティストとの共同制作およびアーティストブックの出版など、活動を展開しています。「THE COPY TRAVELLERS」(加納俊輔・迫鉄平・上田良)や、「三つの体、約百八十兆の細胞」(早川祐太×高石晃×加納俊輔)において、各作家との対話と実験を重ね、新たな表現の可能性に挑戦してきました。

Maki Fine Artsでの個展としては、「バウムクーヘンとペタっとした表面」(2013年)、「ファウンテンマウンテン」(2014年)、「Cool Breeze On The Rocks」(2015年)から約1年半ぶり、4回目の個展となります。本展で発表される新作は、シンガポールで撮影したスナップショットを用いた、写真作品「specious notion」シリーズ、映像作品を中心に構成されます。都市開発が進み、変容するシンガポールの工事現場等の風景を素材として、拡張し続ける加納の最新作を是非ご高覧ください。

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星野 太(美学・表象文化論/金沢美術工芸大学講師)

加納俊輔の作品を見ることは、いつも新たな発見の喜びに満ちている。その発見は、決して晦渋な「学び」をこちらに強いるようなものではなく、つねに軽快な「喜び」を伴うものだ。見る者に対して啓発的であろうとする凝り固まった姿勢を周到に回避しつつ、世界に対する新たな視野をあっけらかんと提示する加納の作品は、むしろその事実によって、どこか超然とした風格を湛えている。
現時点での加納の代表作である《layer of my labor》は、その洒脱なタイトルが示すように、現実に存在する複数の「レイヤー」を操作的に用いた鮮やかな仕事であり、写真の表面性に対するすぐれた批判意識の産物である。とはいえ、写真を見るときのプリミティヴな驚きを凝縮したような《WARP TUNNEL》、あるいは世界の「かたち」に対するすぐれた洞察の結晶である《B&B》といった旧作に目を向けてみればわかるように、この作家はキャリアの当初から、その軽妙な姿勢を決して崩すことがない。
加納俊輔の作品において何よりも驚くべきは、明敏な批判意識に満ちたこれらの産物が、つねにどこかユーモラスな姿を纏っていることだ。加納の作品を見る者は、そのユーモアに満ちた発見の喜びを、何らかの言葉にしたいという誘惑に駆られる。とはいえ、作品を前にしかめ面であれこれ言葉を闘わせることほど、その「喜び」に似つかわしくない振る舞いもない。おそらくそれこそが、加納の作品から私たちが獲得すべき唯一にして最大の教訓である。

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Towards インタビュー
http://towards.info/ShunsukeKano.html

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