Exhibition
池田衆「Object and Image」
Maki Fine Artsでは5月25日(土)より、池田衆の個展「Object and Image」を開催します。弊ギャラリーでは約2年半ぶり、5度目の個展となります。本展での新作は、美術史における「静物画」をモチーフに、オブジェクト(物質)とイメージ(画像データ)との関係性について、批評的な視点を基に制作されました。池田衆はこれまで自然や都市風景を主なモチーフとして、写真を切り抜き、独自の形や空白を画面上に作り出したり、切り抜いた要素をコラージュする手法にて、絵画と写真の間を行き交う作品を発表してきました。新作は恣意的な要素を控えつつ、写真の裏面を用いたり、反転・対比といった構成的なアイデアが取り入れられています。進化を続ける池田衆の新作、是非ご高覧ください。
池田衆 / Shu Ikeda
1979年広島生まれ。これまでの主な展覧会として、個展「Sight」(2018年、 六本木ヒルズA/Dギャラリー)、 グループ展「アートがあればII – 9人のコレクターによる個人コレクションの場合」(2013年、東京オペラシティアートギャラリー)など。Maki Fine Artsではこれまで4度の個展(2017年「Reverse/Rebirth」、2015年「In Between Places」、2012年「From the Bloom to the Blank」、 2011年「Another Yesterday」)を開催。2017年には、いけばな小原流の月刊会員誌「小原流挿花」の表紙(全12回)に作品が掲載された。
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静物画は美術史における伝統的ジャンルのひとつです。
主に人生や虚栄の儚さ、死を連想させるモチーフなど暗喩的表現を内包しつつ、実物そっくりの精巧な写実的表現に重点が置かれていた17世紀西洋絵画でひとつのジャンルとして確立してから、シャルダン、セザンヌ、モランディなどの画家やキュビズム、シュールレアリスムなどの多くの作品に扱われてきた主題です。
その流れの中で19世紀後半から主題の意味や再現性にとらわれず、画面構成が重視されていき20世紀初めにピカソとブラックの静物画が起源となったのがコラージュという手法でもありました。
これまで私は主に自然や都市など風景写真を撮影し、その写真を切り抜いたり、コラージュする手法で制作をしてきましたが、対象物を配置、構成するという意味でも、歴史的な流れからみても静物画はコラージュと密接な関係にあり、私の作品の源泉、根幹にあると思ったのが今回の個展のきっかけです。
今回の個展はそのような過去の静物画を参照にしたり要素を抽出しながら、切り抜きやコラージュという手法と融合させ自分の表現の現在地として示しています。そして写真を切ることで、絵画/写真、物質/イメージ、表面/内面、などの要素を顕在化し、対立する相互を共存させるような画面を再構成しています。
大量の加工された写真がスクロールされる現代において、錯覚しているイメージや希薄になった物質性やリアリティーを立ち止まって意識することで、改めて”みる”ことの驚きや面白さを感じられるのではないかと思っています。
池田衆